失望【第176話】

文学賞への挑戦は、
期待していた結果には届きませんでした。

しかし1998年の私は、
ただ失望するのではなく、
その気持ちを次へ進む力に変えようとしていました。

失望を希望へ変えるために

失望といえば
少し大袈裟(おおげさ)だが、
文学賞の投稿は失敗に終わったようだ。

入賞していれば、
本日までに連絡はくるはずだ。

何の音沙汰­(おとさた)もなかった。
すなわち落選である。

残念だな、
という気持ちはやはり拭­(ぬぐ)えない。

他人にいわせれば、
「焦るなよ、書き始めてからたった五ヶ月目に書いた作品が、
 そうやすやすと文学賞に入るわけないだろう。
 そんなに甘いはずないだろう」、
ということになるかもしれない。

そうではなく、
私は少しでも早く稼げるレベルになりたいのだ。

プロとして書くようになれば、
書く内容やレベルが変わってくるだろうし、
違った新しい道も開けるかもしれない。

自分自身が力をつけてゆくためにも、
プロとしてやれる日が早ければ早いほどいい、
と私は思っている。

やはり、
ちょっと焦っているのかな。

そんなに慌てる必要ないではないか、
と自分に言い聞かせてみる。

焦っているのではなく、
残念がっているのだ。

つまり、
希望につながる失望をしているのだ、
と私は理解することにした。

自分の力を客観的に反省するため、
百枚くらいの作品を
年内にあと一、二作書き上げ、
本年の総決算をしようと決心した。

失望していたら前に進まない。

いずれにしても、
勉強しなければならないことはまだたくさんある。

ストーリーの組み立て、
文体づくり、
描写の工夫等々、
それこそごまんとある。

私は本を読むのが恐ろしくおそい。

むかし速読の勉強などしてみたが、
結局駄目だった。

面倒とは思っても、
書くためには他人の作品も、
まったく読まないというわけにはいかないだろう。

これから何度もこういう経験をして、
一皮むけ、また一皮むけ、してゆくのだろう。

失望をしながら、
大望に近づいていくのだろう。

執筆日:1998/10/31(土)

編集後記

28年前の私は、
文学賞への挑戦に失望しながらも、
その気持ちを前へ進む力に変えようとしていました。

失望の中に希望を見つけようとする姿勢は、
今読み返しても印象に残ります。

👉次回記事「第177話」はこちら
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