佳作【第163話】

短編小説コンクールで、
初めて自分の名前が雑誌に掲載されました。

嬉しさの一方で、
佳作ではなく当選作になってほしかったという
複雑な気持ちもあります。

1998年の私の小さな一歩です。

初めての佳作

昨日発売の雑誌に、
短編小説コンクールの発表があった。

投稿した私は、
選評の中に名前だけでも載っていれば、
と思っていた。

佳作者の名前が
ずらっと並んでいる欄の中央に、
ちょこなんと私の名前が印刷されていた。
嬉­しかった!

何か高校受験の発表を見ているようで、
取り敢えずホッとした。

予定通りの展開になっている。

義務教育を終了して
高校、大学と経て社会に出て行く。

そんなプロセスの中にいるような気がした。

まず高校には入学することができた。
今度は大学だ。

あるていど大学でもまれてから、
もの書きとして社会に巣立つ。

千日を疾風のごとく
駆け抜けなければなるまい。

スタートは、
予定通りに切れた。

妻が喜んでくれた。

私は
どちらかといえばポーカーフェイスなので、
妻は私に
「もっと喜びなよ」、
と言って
嬉­しそうにしてくれた。

予定通りだといっても、
人間欲深いもので、
当選作になって欲しかったという思いもあり、
佳作に諸手を挙げて喜べない自分がいた。

それが私の顔に出たのだろう。

気づいた妻は
「初めての作品で、
 佳作として雑誌に名前が載るのは
 凄­いよ」、
といって私を褒めそやした。

持つべきものは愛しい妻だ。

私は以前、
ペンネームを二つ用意して投稿に臨んだが、
今はひとつに絞り込んだ。

佐渡(さわたり­)美樹(よしき­)
を使うことにした。

しかし、
八月のコンクールで使ったペンネームは、
全五編の内四編が
名栗(なぐり)雅­樹(まさき)で、
佐渡美樹は一編だった。

もし名栗雅樹で大賞を受賞したら、
今後ずっと名栗雅樹でやってゆくしかないかな、
とも思っている。

書き始めて約半年、
通過点をなんとかクリアーしたみたいだ。

ほんとうに大変なのはこれからだな、
と切々と感じている。

執筆日:1998/10/18(日)

編集後記

初めて書いた作品が佳作になり、
雑誌に名前が載った28年前の私。

今読み返すと、
嬉しさと悔しさが入り混じった
素直な気持ちがよく伝わってきます。

最初の一歩は、
小さくても大切だったのだと思います。

👉第164話はこちら
日本シリーズ|人生にもう一度挑戦する