雪が降ると、
なぜか少しうれしくなる。
1998年12月、
仕事から帰るころに雨が雪へと変わりました。
白くなっていく街を眺めながら、
私は雪がもたらす不思議な感覚について考えています。
雪国の厳しさを知らない
都会暮らしだからこそ感じる、
「雪を楽しむ」という時間です。
雪が覆い隠す、日常の景色
昼から降り続いた雨が、
帰りの電車を降りるころには、
白いものに変わっていた。
ぼろぼろと落ちてくる。
舐(な)めてかかると、
あっという間に、
その中に埋もれてしまいそうなボタ雪だった。
駅で乗り継いだバスから降りると、
さらに勢いを増してきた。
口を開けていたらすぐにでも、
ボタ雪は口の中へ入ってくるだろうと思われた。
上を向き、
大きく口を開けて歩いたが、
意外と口の中には落ちてこなかった。
明日の朝が楽しみだ。
私は雪が降ると結構うれしくなるほうだ。
冬、って感じがする。
身が引き締まる。
あたり一面真っ白になり、
一瞬ではあるが、
世の中のすべてのものを覆い隠してくれる。
そんな気がする。
家の中を暖かくして、
外の白い冷たい世界を窓越しに見ていると、
何ともいえない安堵感に包まれた、
現実逃避の中にいるような気がする。
雪国の方には申し訳ないが、
雪の厳しさをまったくしらない男の
戯(ざ)れ言として、聞き流して欲しい。
これを書き始めたら
雪がやんでしまった。
ベランダに薄く覆い被(かぶ)さった白が、
透明になり地色を見せ始めている。
明日は何の問題もなく会社へ行けそうだ。
数センチの雪でも、
都会の電車は止ってしまう。
コンピューターと相談しながら動いている列車は、
少しの狂いでも、
すぐに大きな乱れとなってアウトプットされてしまう。
雪がもたらす不便さだ。
一昨日は日中に、
20℃まで達したときいていたが、
いま外は零度前後だろう。
あまりにも温度差が激しすぎる。
雪がもたらす自然の厳しさは、
想像を絶するだろう。
私は、
雪を楽しむていどの場所に住んでいる。
感謝すべきなのかもしれない。
執筆日:1998/12/3(木)
編集後記
「雪」という、
ごく身近な自然現象について書いた第209話です。
1998年の私は、
雪を見ることで
一時的に現実から離れたような感覚を味わっています。
しかし、雪は美しいだけではありません。
交通を止め、生活を不便にし、
自然の厳しさも見せてくれます。
28年後に読み返すと、
仕事や会社のことばかり考えていた当時の自分が、
雪を眺めることで少しだけ
日常から離れていたことが分かります。
👉次回記事「第210話」はこちら
カンパニーと株式会社|「会社」と「カンパニー」から考える日本のサラリーマン


