社長交代【第145話】

会社にとって社長交代は、
大きな節目となる出来事です。

第145話では、
勤務先で実際に行われた社長交代をきっかけに、
世襲や経営者の資質について考えています。

組織を率いる立場に必要なものは何か
を問いかける一篇です。

経営者に本当に必要なのは「血筋」ではなく「資質」

私の勤務する会社の社長が交代した。

新しい社長が誕生し、
新社長の兄、
すなわち前社長は新会長におさまり、
新会長の兄、
すなわち前会長は名誉会長におさまった。

三兄弟は、
きれいにおさまりがついた。

会社は三兄弟の父親によって創業され、
彼らが大きく育ててきた。

世襲はしないというのが、
名誉会長の信念である。

それは、
三兄弟の嫡男は新会長にひとりしかおらず、
名誉会長も新社長も息女しかいない、
ということと無関係ではないと思う。

私は、
世襲だろうが、
なかろうがどちらでも良いと思う。

社長として、
経営者として、
適切な人が努めてくれるなら、
サラリーマン社長でも良い。

世襲云­々(せしゅううんぬん)に、
必要以上に拘­(こだわ)る必要はないと思う。

むしろ社長に適切な人かどうか、
就任時点で適確な判断をして欲しい。

そして、
必要であれば、
外部からでも良いから適切な人をあてて欲しい。

次はもう兄弟はいないのだから、
ぜひそうして欲しい。

交代をした当事者は、
さぞかし寂しかったろうと思う。

自分の城を明け渡すような気持であったろう。

長年培ってきた社内における権威が、
ゆっくりとではあるが崩れてゆくような、
自分自身がそれを肯定してしまうような
心境かもしれない。

社長業は、
大変な仕事だと思う。

十一年の長きに渡り、
ほんとうにご苦労様でした、
といいたい。

また新社長には頑張ってくださいよ、
結局あなたにすべてがかかるのだから、
といいたい。

交代といっても、
我々職位レベルの交代とは、
まったく異なる性質なのだろう。

社長就任などは、
サラリーマンから何人が経験できるだろうか。

私は負け惜しみでなく、
そんな経験はしたくないし、
しない。

私は、
誰にも譲るべきものは持たないから。

執筆日:1998/09/30(水)

編集後記

会社の規模を問わず、
組織はリーダーによって大きく変わります。

世襲かどうかよりも、
時代に合った経営判断ができる人かどうか。

現在でも変わらないテーマだと感じます。

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