子どものころに聞いた
「むかし、むかしあるところに……」
というおとぎ話。
1998年の私は、
そんな昔ながらの物語と、
当時急速に広がっていた
テレビゲームを比べながら、
子どもを夢中にさせる読み物
について考えています。
そしてその先には、
書き手として
「人に読まれる作品を作るとはどういうことか」
という問いがあります。
おとぎ話から考える、子どもが夢中になる読み物
おとぎ話は、
古い歴史を持つ、
子供用のフィクションである、
といえる。
我々年代(50前後)の人間は、
幼いころに
親からおとぎ話を聞いて育った。
娯楽がバリエーションを競って存在するいま、
おとぎ話を語る大人も、
聞く子供も、
急激に減少している。
小さいときからテレビゲームに明け暮れて、
中学生でゲームセンターに入り浸り。
というのが、
現代っ子の娯楽パターンだろう。
こういう生活環境が、
活字離れを起こす一因になっているのは否めない。
ならば、
テレビゲームを凌(しの)ぐ読み物があるのか。
わくわくするような、
読むことが楽しくなるような読み物が
あるのだろうか。
現状では、
義務教育期間中の子供たちを
ひきつけるような読み物は、
まずないと思う。
私も詳しく調べたわけではないので、
うかつなことはいえないが、
少なくとも、
子供にとってテレビゲームを凌ぐ読み物がある、
という事実はきかない。
逆に、
最近のゲームは
ストーリー性を持っている。
つまり、
小説などの読み物に魅力がない、
ということの裏返し現象ではないか。
この事実を、
書き手であるプロたちは
どう受け止めているのだろうか。
私は作る人(書き手)だから、
そういうことは、売る人(出版社)が考えることであって、
私は書くだけだ。
というかもしれない。
そうだろうか。
現代を生きる書き手の評価は、
極端にいうと、
芸術性が50%、
売れるか否かが50%だ。
というくらい、
大衆に受け入れられることも、
評価の大きなファクターになると思うのだが。
いくら良いものを書いて、
一部の評論家から絶賛されても、
それ以上にはなりえない。
おとぎ話の、
「むかし、むかしあるところに、……」
の書き出しフレーズにも及ばない。
執筆日:1998/11/29(日)
編集後記
1998年の私は、
おとぎ話とテレビゲームを比べながら、
「人を夢中にさせる読み物とは何か」
を考えています。
今読み返すと、
これは単なる子どもの娯楽についての話
ではありません。
「書き手は何を作れば、
人に読んでもらえるのか」という、
作家を目指していた
当時の自分自身への問いでもあります。
2026年の今、
私は再び文章を書き、
こうして読者に届けようとしています。
28年前に考えていた
「読んでもらえる文章を書く」
という課題は、
今も続いているのです。
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