第203話では、
浦島太郎の物語に登場する
「竜宮城」をサラリーマンの人生に重ねて考えました。
今回は、
その浦島太郎自身について考えてみます。
昔話として読むと何気ない物語ですが、
サラリーマンや定年後の人生に重ねてみると、
少し違った姿が見えてきます。
浦島太郎に見る、会社員人生と定年後の落とし穴
竜宮城ときたら、
浦島太郎を登場させないと、
バランスがとれない。
彼は、
結局玉手箱を開けてしまい、
一瞬にして時の流れを浴び、
年老いて白髪(はくはつ)、
白髭(しろひげ)になってしまう。
この話は紛れもなく、
むかし、むかしの話だ。
なのにとてもSFめいていて、
よく考えてみると、
妙なことの多い物語だ。
太郎は、
子供たちが亀をいじめているところに、
たまたま出くわすようになっている。
そして、
金をもらったらすぐに去ってしまう子供というのも、
なにか腑(ふ)に落ちない。
また、
亀は外敵に遭うと、
身を甲羅(こうら)の中に隠してしまい、
大抵のことではビクともしないはずだ。
それを助けたうえ、
海へ戻してやっている。
そんなに、
過保護にする必要があったのだろうか。
さらに、
太郎を迎えにきた亀が、
助けた亀かどうかも良く確認しないまま、
亀の言った通りに信じてついて行ってしまった。
何と不用心なのだろう。
浦島太郎はあまりにも単純すぎた。
誘いにのり、
息ができない水の中にまで潜って、
竜宮城へと向かって行ったのだから。
当時の現実から逃避をしたわけだ。
彼の日常生活は、
それほどおもしろくなかったのだろうか。
最初は亀を助けているが、
全体的なストーリーの流れは、
他力本願的な彼の生き方が主体になっている。
そう感じるのは私だけか。
やがて太郎は、
乙姫様と竜宮城に別れを告げたくなってくる。
贅沢(ぜいたく)なことに、
毎日遊んで暮らすのにさえ、
飽きてしまったのだ。
そのときすでに、
彼は廃人同様になっていたのだろう。
乙姫達も
太郎がお荷物になっていたに違いない。
働きもせず、
酒を飲んでばかりいたのでは、
愛想も尽きるというものだ。
定年退職後の人生は、
何故か
浦島太郎が
玉手箱を開けた後の人生とダブる。
そう感じている人がいたら、
それは危険信号ですぞ。
執筆日:1998/11/28(土)
編集後記
浦島太郎の物語を、
定年退職後の人生と重ねて考えた第204話でした。
1998年の私は、
働かなくなった後の人生に対して、
かなり厳しい見方をしています。
その背景には、
会社を離れた後も
「何をして生きるのか」
という問題があるのでしょう。
28年後の今、
読み返してみると、
定年後の時間をどう過ごすかという問題は、
当時だけのものではありません。
会社を離れることだけを
「解放」
と考えるのではなく、
その後に何をするのかまで考えておく。
そんなことを、
この古い浦島太郎の物語から
考えさせられる一篇です。
👉次回記事「第205話」はこちら
おとぎ話|おとぎ話から考える、子どもが夢中になる読み物


