青山あり【第156話】

「人間至る処青山あり」。

古くから伝わるこの言葉は、
現代の働き方にも通じる教えかもしれません。

第156話では、
会社を辞めた後輩との再会をきっかけに、
自分の世界を広げることの大切さについて綴っています。

あなたの世界は、今いる場所だけではない

人間至る処青山有り

読み:にんげん(じんかんとも言う)
いたるところせいざんあり

意味:どこで死んでも
世の中には
自分の骨を埋めるぐらいの場所は
あるということ。
だから、
故郷(今回の場合:現在勤めている会社)
にこだわらず
広い世間に出て
おおいに活動すべきだ
というたとえ。

というが

ほんとうに同感だ。

先週金曜日に、
この春会社を辞めて
故郷に帰った後輩Sが、
出張で東京にきたので飲もう、
ということになった。

Sの同期二人と私を含めて、
四人で飲んだ。

当然、「会社を辞めてどうだ?」
という話題になった。

私のようにサラリーマンを辞めたい、
というのではなく、
家庭の事情で辞めていったSは、
「総合的には良かった」と答えた。

Sと同期の一人が、
サラリーマンはいまのご時世では、
辞めたくても
なかなか辞められないですよ、
という。

たしかにその通りだ。

では今の会社に定年までいるつもりか、
と私が質問すると、
­いい話があればいつでも転職したいですよ、
という本音が返った。

ほとんどのサラリーマンは、
いい話があれば移りたい
と思っているのではないか。

いい話とは、
居心地が良く、
適度に自分の力を発揮でき、
給料は高いことだ。

皆、
そんなうまい話があるわけない、
と思っているのだが、
そんな話に憧(­あこが)れる。

つまり現実として、
バランスがとれた処遇をしている会社は
少ないのだ。

給料がよければ、
その分を埋め合わせるマイナス部分がある、
というのが現状だろう。

Sは、
「収入は減ったが、妻も子供も
 いまは生き生きとしている」、

といって喜んでいた。

いままでと違った世界で
暮らしている彼は、
自分の世界も広がったといった。

このエッセイブログを
読んでいただいている方に、
あなたのいまの世界がすべてではない、
と声を強くして言いたい。

人間が生きてゆくのに、
場所はあまり関係ない。

どんなところでも生きてゆけるものだ。

最初の会社に
一生居なければならない理由など
まったくない。

サラリーマンのままでもいいから、
もっと目を開けて、
世界を広げるべきだろう。

執筆日:1998/10/11(日)

編集後記

働く場所や
暮らす場所が変わると、
不安もあります。

しかし、
新しい環境だからこそ
見えてくる景色もあります。

「今いる場所がすべてではない」
という言葉は、
転職だけでなく、
生き方そのものにも通じる考え方
だと思います。

👉第157話はこちら
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