日本語の難しさ【第168話】

「東京働いています」

「東京住んでいます」。

この「で」と「に」の違い
を説明することになった1998年の私。 今回は、
外国人に
とっても難しい
日本語について考えています。

日本語の「で」と「に」

私の妻は、
外国人に英語で日本語を教えている。

今日はレッスンの日だ。

妻に
「『東京で働いています』
 と、
 『東京に住んでいます』の、
 『で』と『に』の違いを
 説明しなければならないんだけど、
 どう説明したらいい?」
と質問された。

私もいい加減なもので、
どちらもINでいいと思ったが、
「感覚的には、
 英語のINが東京で、
 ATが東京だ」
と答えてしまった。

しかし、
じっくり考えてみると
大分違うのではないか。

これでは説明がつかないのではないか、
と思った。

妻の調べでは、
「に」は存在の場所を、
「で」は動作の場所を示す格助詞だそうだ。

格助詞とは、
またよく分からない。

三省堂の国語辞典で調べると、
――主として体言について、
  それが他の体言や用言と
  どのような関係をもつか
  を示す助詞――
とある。

よけい分からなくなった。

体言は名詞・代名詞のことであり、
用言は動詞・形容詞・形容動詞のことである。

そして、
格助詞には
「が・から・で・と・に・の・へ・や・より・を」
等がある。

会社から帰宅して妻に訊くと、
「何とか納得してもらえた」、
という。

外国人にしたら日本語のコミュニケーションは、
誤解が生じてもなんら不思議はないほど難しい、
と思っているだろう。

ましてや阿吽(あうん)の呼吸などという、
沈黙のコミュニケーションなど、
お手上げの状態だろう。

言語の複雑さは、
その国の国民感情に
大きく影響を及ぼしているのではないか。

日本語の複雑さが、
そのまま国民性に変身し、
よく分からない曖昧(あいまい)な国として、
外国人から「神秘的な国」とか、
「エコノミックアニマル大国」
といわれるようになるのだろう。

サラリーマン社会も、
灰色好みの人が多く、
相変わらず曖昧模糊
(あいまいもこ:あやふや)
としている。

執筆日:1998/10/23(金)

編集後記

28年前の私は、
日本語を
日本人に説明することの難しさを
実感していました。

今読み返しても、
「で」と「に」の違いを
感覚ではなく
説明するのは簡単ではありません。

日本語は、
改めて奥深い言葉だと感じます。

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