定年【第125話】

サラリーマンにとって「定年」は、
一つの節目であると同時に、
新しい人生の始まりでもあります。

第125話では、
定年後の生き方について、
当時の率直な思いが綴られています。

今は定年制度も大きく変わりましたが、
「自分の人生をどう生きるか」
という問いは、
今も変わらないテーマだと感じます。

定年は人生の終わりではない

サラリーマンにとって定年は、
実に複雑多岐な思いを含んだけじめだ。

定年と同時に、
人それぞれに様々な結果をもたらす。

自分の人生が終わってしまったように
元気を失う人。

妻から逆に三下り半を貰(もら)う人。

あれだけ厭­(いや)だ
と言ったサラリーマンにしがみつき、
嘱託で働く人。

しばらく身体を休め、
雇用保険の支給が終わるころ
仕事を探しだす人。

故郷に戻りひっそりと暮らす人。

悠々自適、
趣味の世界に耽­(ふけ)る人。

定年と同時に起業する人。

生涯教育を受けに再び学校へ通う人。

今までとまったく違う第二の人生を歩む人。

いずれにしても、
ややネガティブなイメージなのが、
定年という言葉である。

一番陥りやすそうなのが、
人生の九割を終えてしまったという感覚だろう。

残された人生を云々(うんぬん)というように、
定年後の人生は非常に短い、
という感覚に陥ることだ。

今は、
定年を60歳に定めている会社が多い。

60歳で辞めると、
男の平均寿命からいって、
余命17、8年しかない。

その内元気でいられる時間を勘定すると、
たしかに短いかもしれない。

そこでサラリーマン50歳定年をお勧めする。

それが無理だとしても、
せいぜい5年プラスして、
55歳定年が限度だろう。

そうすると
定年後22、3年あるわけだ。

50歳でうまく辞められれば、
30年近くあるわけだ。

これならかなりのことができる。

一旗、
ややもすれば二旗もあげられるかもしれない。

55歳になれば、    

身軽になれるだろう。

自分の人生を生きなければ、
何の人生だろう。

人に使われるのが、
自分の人生だと思っている人には
何もいわない。

しかし
少しでも
自分の人生は違うところにあるはずだ、
と思っているならば、
50歳、
もしくは55歳定年をお勧めする。

執筆日:1998/09/10(木)

編集後記

定年の年齢や制度は、
この28年で大きく変わりました。

しかし、
「仕事を終えた後、
 どのような人生を歩みたいか」
という問いは、
今も昔も変わりません。

会社を卒業した後の人生まで見据えて
準備することの大切さを、
この一篇から改めて感じました。

👉第126話はこちら
世渡りは本当に必要なのか|自分らしく生きるために