特技【第122話】

「あなたの特技は何ですか?」

そう聞かれると、
意外に答えに迷う人も
多いのではないでしょうか。

第122話は、
特技とは何か、
そして持っているだけでなく
磨き続けることの大切さ
について考えた一篇です。

特技は磨いてこそ価値になる

例えば、
自分が転職したい会社の
面接試験を受けていたとしよう。

そこで、
あなたの特技はなんですかと聞かれ、
「これが私の特技です!」。
と胸を張って答えられるような特技は、
私は何ひとつ持ちあわせていない。

敢えて、
英語が少々‑喋(しゃべ­)れます、
といってみても、
今では実務から七年も離れているので、
仕事で通用するようなレベル
ではないかもしれない。

英語が多少できるくらいは
あたり前になっており、
特技にはいるのかどうか。

また、
文章が少々書けますといってみても、
出版社でもなければ、
そんなものは必要ないよ
といわれてしまうだろう。

いっそ開き直って、
明朗闊達な性格が特技ですかね。
とでも答えたら、
新卒者でもあるまいし、
五十に近いおじさんの解答ではない、
とバカにされてしまうだろう。

意外と特技などないものだ。

「作詞作曲ができます」
と言ったら、
面接試験の有効な解答になり得るだろうか?

なり得るはずもない。

しかし
現在のサラリーマン生活を続けるだけならば、
なにも特別な特技など必要ない。

いまの地位を既得権として守ってゆく
くらいは充分にできる。

なんとしても定年まで死守できれば、
それはそれで特技になり得るかもしれない。

人は特技を仕事や人生にどれほど活­かしているか、
というと非常に疑問がある。

特技が職業になったという人は、
それほど多くはいないと思う。

また、
人生をエンジョイする上で
こんなに特技が役立っています、
といった話もあまり身近では聞かない。

特技はほとんど実生活に活かされていないのか。

特技も使わなければ、
宝の持ち腐れになってしまう。

磨いて鮮度を保っておかなければ、
いざというときに特技です、
とはいえない代物に成り下がってしまう。

精進、精進。

執筆日:1998/09/07(月)

編集後記

特技は、
生まれつきの才能だけで決まる
ものではありません。

続けることで磨かれ、
やがて自分らしさになっていくもの
なのだと思います。

小さな積み重ねを大切にしたいと、
改めて感じました。

👉第123話はこちら
ひまわり|人生にも季節がある