浦島太郎【第204話】

第203話では、
浦島太郎の物語に登場する
「竜宮城」をサラリーマンの人生に重ねて考えました。

今回は、
その浦島太郎自身について考えてみます。

昔話として読むと何気ない物語ですが、
サラリーマンや定年後の人生に重ねてみると、
少し違った姿が見えてきます。

浦島太郎に見る、会社員人生と定年後の落とし穴

竜宮城ときたら、
浦島太郎を登場させないと、
バランスがとれない。

彼は、
結局玉手箱を開けてしまい、
一瞬にして時の流れを浴び、
年老いて白髪(はくはつ)、
白髭­(しろひげ)になってしまう。

この話は紛れもなく、
むかし、むかしの話だ。

なのにとてもSFめいていて、
よく考えてみると、
妙なことの多い物語だ。

太郎は、
子供たちが亀をいじめているところに、
たまたま出くわすようになっている。

そして、
金をもらったらすぐに去ってしまう子供というのも、
なにか腑­(ふ)に落ちない。

また、
亀は外敵に遭うと、
身を甲羅(こうら)の中に隠してしまい、
大抵のことではビクともしないはずだ。

それを助けたうえ、
海へ戻してやっている。

そんなに、
過保護にする必要があったのだろうか。

さらに、
太郎を迎えにきた亀が、
助けた亀かどうかも良く確認しないまま、
亀の言った通りに信じてついて行ってしまった。

何と不用心なのだろう。

浦島太郎はあまりにも単純すぎた。

誘いにのり、
息ができない水の中にまで潜って、
竜宮城へと向かって行ったのだから。

当時の現実から逃避をしたわけだ。

彼の日常生活は、
それほどおもしろくなかったのだろうか。

最初は亀を助けているが、
全体的なストーリーの流れは、
他力本願的な彼の生き方が主体になっている。

そう感じるのは私だけか。

やがて太郎は、
乙姫様と竜宮城に別れを告げたくなってくる。

贅沢(ぜいたく)なことに、
毎日遊んで暮らすのにさえ、
飽きてしまったのだ。

そのときすでに、
彼は廃人同様になっていたのだろう。

乙姫達も
太郎がお荷物になっていたに違いない。

働きもせず、
酒を飲んでばかりいたのでは、
愛想も尽きるというものだ。

定年退職後の人生は、
何故か
浦島太郎が
玉手箱を開けた後の人生とダブる。

そう感じている人がいたら、
それは危険信号ですぞ。

執筆日:1998/11/28(土)

編集後記

浦島太郎の物語を、
定年退職後の人生と重ねて考えた第204話でした。

1998年の私は、
働かなくなった後の人生に対して、
かなり厳しい見方をしています。

その背景には、
会社を離れた後も
「何をして生きるのか」
という問題があるのでしょう。

28年後の今、
読み返してみると、
定年後の時間をどう過ごすかという問題は、
当時だけのものではありません。

会社を離れることだけを
「解放」
と考えるのではなく、
その後に何をするのかまで考えておく。

そんなことを、
この古い浦島太郎の物語から
考えさせられる一篇です。

👉次回記事「第205話」はこちら
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