体育の日【第155話】

秋晴れの日に歩く時間は、
心も体も軽くしてくれます。

第155話では、
体育の日を
妻と共に過ごした一日を通して、
健康だけでなく、
夫婦の時間や
人生の豊かさについて
綴っています。

歩く時間が、人生を豊かにしてくれる

本日(1998年10月10日)は体育の日で、
運動会や体育祭と、
呼び方は違っても、
体育に因(­ちな)んだ催しが多い。

私の娘も体育祭だったが、
もう見にきてもらう歳(とし­)でもない、
というので見に行くのは止­めた。

久し振りに晴れ上がった秋空の下、
私と妻は連れ立って
ウォーキングに出かけた。

サイクリングコースもある
国定公園の遊歩道に、
電車で一時間あまりかけて行った。

公園内でも色々な催しがみられた。

ところで本日は、
平成十年十月十日、
十が三つ並んだ。

この数字にかこつけて、
下車駅前の商店街では、
不景気を吹き飛ばそうと、
安売りセールの呼び込みに余念がなかった。

そんなこととは関係なく、­
私は、
どんなに妻から意地汚いと­言われようが、
清々(­すがすが)しい空気を
胸と腹にいっぱい吸い込めるだけ、
思いっきり吸い込み、
早足で歩く。

気持が良い。

芝生の中にある、
木立の日陰で弁当を開く。

むすびを頬(­ほお)張ると、
懐かしい思いがする。

学生時代の遠足や運動会、
夏の水泳大会等、
やわらかな木漏れ日の中で、
若かりし頃の映像が
キラキラ光って見えてくる。

存分に、
少し早めの食事をすませ、
仰向けになって贅­沢(ぜいたく)な
昼寝を貪(むさぼ)る。

食後、
遊歩道を歩き始めると妻が、
「カップルが多いわね。
 若い人たちは
 必ず手を握りあっているか
 腕を組んでいるけど、
 私たちの年代は、
 そんなのひと組もいないわね」、

という。

それからふたりは手をつなぎ、
日本人は愛情の示し方が下手だとか、
この歳(とし)になると、
釣った魚に餌(えさ­)はやらない、
という心境になってしまうのかしらとか、
好き勝手なことを言いながら歩いた。

15~16キロ歩いたが、
普段からウォーキングをしているので
疲れは感じなかった。

たまに夫婦でレクレーションをするのも
精神衛生上必要ではないか。

自分だけでするのではなく、
必ず奥さんと一緒に、
が基本だ。

執筆日:1998/10/10(土)

編集後記

健康づくりというと、
運動の効果ばかりに目が向きがちです。

しかし、
この作品を読み返すと、
一緒に歩き、
語り合う時間そのものが
人生を豊かにしてくれるのだと感じます。

28年前に夫婦で歩いていた時間は、
今振り返ると、
健康だけでなく
人生そのものを支えてくれる時間
だったように思います。

忙しい毎日だからこそ、
大切な人と歩く時間を持ちたいものです。

👉第156話はこちら
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