動機の分析(3)【第153話】

理想だけでは人生は変えられません。

挑戦には結果が伴わない時期もあります。

第153話は、
作家への挑戦を続けながら、
不安と希望の間で揺れる
率直な心情を綴った一篇です。

夢だけでは前へ進めない

年齢と印税収入を、
動機として挙げてきた。

そして三つ目に挙げられるのは、
もう本当にサラリーマンを辞めたい
と思っていたからだろう。

冒頭にも書いたが、
ほとほとサラリーマンに
嫌気がさしていたのは事実だ。

何しろ自分の意志が閉じ込められた環境で、
一日の大半以上をすごさなければならない苦痛
といったら、
たとえようもない。

自分の意志で
規則正しい生活をすることには耐えられるが、
­他­人によって­無理やり方向づけされるのは、
耐え難いものがある。

バブルが弾け、
現在はいまだかつてない不景気の真っただなか。

サラリーマンが厭(いや)だといっても、
やすやすと辞められるものではない。

辞めることはできるかもしれないが、
失業率の高い今日に、
他に就職できる道がおいそれとあるものではない。

出版業界もかなり不況の煽(あお)りを受け、
決して景気の良い業界ではない。

むしろ、
悪いといわれている。

そんな中へ徒手空拳
(武器やお金、頼るものが何もない状態)
で飛び込めるわけもない。

それも作家として、……
などと思いながらも半年がすぎた。

作家のライセンスを取るために、
小説コンクールに投稿した。

書き始めて四ヶ月めの七月に、
初めて投稿したがそろそろ発表になる。

もし、
入選していれば、
すでに出版社から連絡があるはずだ。

何もない。

駄目だったのだろう、
仕方がない。

八月には、
ふたつのコンクールに投稿した。

入選する確率は、
最初のときよりも高い……
はずもない。

すでに私の投稿は、
三つのコンクールに及んだ。

そのうちひとつは必ず引っかかる、
と信じている。

あまりにも甘すぎるだろうか。

いずれにしても、
生活のできる収入を得られるなら、
今すぐにでも転職したい。

サラリーマンも25年やれば充分だと思う。

充分すぎるだろう。

執筆日:1998/10/08(木)

編集後記

『動機の分析』は全4回で構成しています。

作家を志した背景や、
『サラリーマン千日解放』という
タイトルに込めた思いを綴っています。


ぜひ、
第151話から第154話まで
続けてお読みください。

👉第154話はこちら
動機の分析(4)|夢を続けるためにも、生活は大切