ヒーロー【第25話】

幼少時、多くのヒーローがいました。

そのヒーロー達が
信じられない形で消えて行ったのです。

ショックとともに
ヒーローそのものが、
なくなりつつあった時代でもありました。

信じ難く消えたヒーロー達・現代のヒーローは?

私が少年のころ、
ヒーローはたくさんいた。

テレビの人気者であり、
スポーツ選手であり、
漫画の主人公であったりした。

その中で、
三人のヒーローが、
それぞれの立場を守りきれずに消えていった。

まず一人目がスーパーマン。

私の家にまだテレビがないころの番組で、
近所の家で、
食事中に見せてもらったことを思い出す。

新聞は、
スーパーマンを演じていた俳優が、
ピストル自殺したと報じた。

しばらくの間、
私は信じられなかった。

弾を跳ね返す男が
どうしてピストル自殺なのか、と。

二人目が、力道­山­。

プロレス全盛から、
やや下火になっていったころだったと記憶している。

飲食店で酔漢と喧嘩をし、
刺殺された。

最初の報道では、
それほど重傷のようには書かれていなかった。

しかし、数日後に亡くなったと思う。

あんなに強い男が、
どうして相手を倒せずに
刺されてしまったのか、
不思議でならなかった。

三人目は、円谷幸吉さん。

東京オリンピックの、
マラソンの銅メダリストである。

彼は次のオリンピックでもメダルを期待され、
その重圧に耐えかねて自殺した、
と書かれた。

最も過酷な精神力を要求される運動で、
オリンピックメダルまで取った人間が
自殺したのも信じ難かった。

いま、サラリーマンにとってヒーロー、
英雄とは誰だろうか?

職場の正義感にあふれた上司か。

やることなすことすべてが成功し、
社員のカリスマ的存在たる経営者か。

それとも脱サラして、
大成功を収める人か。

現代は、
ヒーローなんかいないのかもしれない。

それこそ、
自分の中に隠れているのかもしれない。

そうだ、私が創り出せばいい。

そのために、
こうして毎日書いているのだから。

執筆日:1998/06/02(火)

編集後記

現代もヒーローと呼ばれる人はいます。

しかしながら、
過去のヒーローとは
かなりニュアンスが違っているように
私には思えてしまいます。

👉第26話はこちら
満員電車|ラッシュアワー・英国人の感想