職場では、
人との接し方に悩む場面が少なくありません。
第114話は、
「ごますり」という
少し刺激的な言葉を題材にしながら、
人との信頼関係や処世術
について考えた一篇です。
相手を尊重することと、
迎合することの違いについて
改めて考えさせられます。
人間関係を築くことと迎合は違う
いまはむかしほど聞かれなくなったが、
サラリーマンといえば必ず出てくるほど、
ごますりという言葉は
切っても切れない関係にあった。
非常に気楽で、
上司にごまさえすっていれば稼業安泰、
ザッツ・サラリーマン、
と揶揄(やゆ)された時代があった。
実際はそんなに単純ではないが、
サラリーマン稼業、
そういう面もあるのは否めない。
しかし、
ごますりも芸の内、
といえば芸の内だ。
上司の感情の機微を上手にとらえ、
自分をうまく売り込む能力とも言える。
上司を取引先や得意先に置き換えて、
ごますりテクニックを発揮すると、
ごますりではなく商売人という評価になる。
私にはとても迎合的な行為はできない。
ごまをするどころか、
ふざけんなよ、
いい加減にしろ、
と喧嘩になってしまうのがおちだ。
私はごますり男にも、
商売人にもなれないのかもしれない。
仕事を進めていく上で、
感情的なもつれを防ぐ潤滑油、
もしくは接着剤的な役割を果たすのは、
ごますりとは違う性質の行為だ。
その境界線が非常に難しい。
判断は十人十色で、
人によってどこまでがごますりで、
どこまでが潤滑油的な行為なのか、
見分け方が違う。
いずれにしても、
ごますりの芸当も、
現代ではかなり高度な
処世テクニックになるのではないか。
つまり、
単純なアプローチでは
上司もひっかからないし、
不勉強ではすぐボロが出てしまう。
そして、
いまや上司だけではなく
部下に対しても、
ごますりともいえる行為を
しなくてはならないご時世になっている。
サラリーマンを解放されても、
人間同士のつながりで生きてゆくには、
少なからず似たようなことがあるだろう。
少なくとも作品にだけは反映させたくない。
執筆日:1998/08/30(日)
編集後記
人と良い関係を築くことは、
社会で生きていく上で大切な力です。
ただ、
自分の考えまで曲げてしまっては、
本当の信頼関係は築けません。
相手を尊重しながらも、
自分らしさを失わないことの大切さを感じました。
👉第115話はこちら
徹する|人生を懸けられるものはあるか

